チェーン&スプロケットの状態は、オーナーの人となりを表す重要なポイント!

ベテランライダーになればなるほど重要視されるポイントに、「バイクのチェーンとスプロケット」が挙げられます。

チェーンとスプロケットの状態は愛車のエンジンパワーをしっかりと路面に伝えるだけではなく、エンジンブレーキなど様々な要素に影響を及ぼす非常に重要な箇所となっています。

そのため、サビだらけのチェーン・チェーンオイル(チェーンルブ)が飛び散って汚れっ放しのバイクはオーナーが愛着を持って愛車に接していないと判断される要素と言えます。他のオーナーの方に一目置かれるライダーになると同時に、調子の落ちた愛車を甦らせるためにも自分でできる範囲のメンテナンスは積極的に行いましょう。

今回は、あなたの愛車の快適な走りを支える「駆動系のチェーン・スプロケットのメンテナンス」について解説します。

まずはメンテナンス必須アイテムを調達しよう!

愛車のチェーンとスプロケットを綺麗に…と言っても、洗車のついでにブラシをあてて洗浄するのはNGです。

バイク用シャンプーなどで汚れ自体は落とせますが、それではチェーンに必要な脂分まで落としてしまい、劣化を早めるだけでなくサビが発生する原因になります。まずはチェーンとスプロケットの洗浄・注油に必要なグッズの調達から行いましょう。

具体的に用意すべきものは、以下の通りです。

・チェーンクリーナー
・チェーンルブ
・メガネレンチなどボルト類を取り外す工具セット
・古新聞や段ボールなど車体用の養生材料
・ウエス(古タオルなどで代用可能)
・作業用軍手

チェーンのメンテナンスが初めてという方は、ワコーズの「CHA-C チェーンクリーナー」を購入されると良いでしょう。バイク・自動車用のケミカル製品を扱う老舗ブランドのワコーズ製品は、高い信頼性を買われてレース界でも活躍している一流ブランドです。

このチェーンクリーナーには洗浄用ブラシもセットで付属している上、非常にクリーナーが噴射しやすい親切設計となっています。これと合わせて「チェーンルブ」を通販でセット購入しておくと手間もかからず送料もお得です。

作業用の軍手は人によっては不要!と言う方もいますが、チェーン・スプロケットは素手で触ると肌が切れてしまうことも多く、引っかき傷を作ってしまうと汚れたチェーンルブが傷口に入り化膿の原因にもなります。

洗浄後は丸めてごみ箱へ入れるだけのお手軽処理なので、できるだけ用意されることをおすすめします。

最初にカバー類を取り外そう!

チェーン・スプロケットのメンテを開始する前に最初にすべきことはチェーンカバーとフロントスプロケットカバーを取り外すことです。

多くのメンテナンス情報サイトでは、チェーンのメンテはチェーンカバーを外すだけで十分としているところもありますが、これでは片手落ちです。エンジン側に組み込まれてるフロントスプロケットはカバーで覆われた構造上かなり汚れが溜まりやすくなっています。

チェーンは回転してフロントスプロケットを通って一周してきますので、ここが汚れたままだと洗浄したばかりのチェーンでもあっという間に汚れてしまいます。そのため、手間を惜しまずフロントスプロケットカバーを外し、全体をメンテナンスするつもりで考えたほう良いでしょう。

取り外したフロントスプロケットカバーは内側がドロドロに汚れていますので、チェーンクリーナーをたっぷりと吹き付け、しばらく置いておきましょう。

汚れたチェーンをガシガシ磨いていこう!

カバー類を取り外し、汚れたルブが飛び散らないように保護材を使って地面などをカバーし終えたら、次はいよいよ洗浄に入ります。

チェーンカバーを外し、作業しやすい部分にチェーンクリーナーを噴射し、洗浄用ブラシでゴシゴシ汚れを落としましょう。目に見えて一気に汚れが落ちていきますので、綺麗に仕上げているという実感が感じられて楽しんで作業を行うことができます。

擦った部分の汚れが落ちたら、サイドスタンドなどを使ってリアタイヤを浮かせ、タイヤを空回ししてチェーンの位置をどんどんずらして洗浄を繰り返していきましょう。ある程度チェーンをフロントスプロケット側へ送れたら、フロントスプロケットの格納部にもクリーナーを噴射し、ゴシゴシ汚れを落としにかかります。

フロント部は少し汚れを落としたら、適宜ウエスなどで汚れを拭き取り、まんべんなく磨くようにしていくとかなり効率的です。リア部のスプロケットはチェーンが一周してきたところで洗浄し、最後に汚れを拭き取るようにすると無駄がなくおすすめです。

洗浄後は余分な水分をしっかり拭き上げよう!

ゴシゴシとチェーンを洗浄し、汚れがすっかり落ちた後はクリーナーなどの余分な水分をウエスで拭き取りましょう。

洗車と合わせて洗浄するのもひとつの方法ですが、チェーンに水分が残ったままではサビの原因になり、チェーンルブの乗り具合も悪いままですのでポンポンポンとウエスを叩いて拭き上げると仕上がりが良好になります。

全体的に拭き上げが終われば、チェーンクリーナーを噴射しておいたフロントスプロケットを洗浄し、同じように水分を拭き上げて組み付けます。

拭き取り後はチェーンルブをまんべんなく塗布!

水分を拭き上げた後はチェーンルブを塗布する作業に入ります。

ウエスや保護材を使ってチェーン裏を保護しながら、チェーンの上下と隙間にムラなく塗布していきます。ドバッとつける必要はありませんので、まんべんなく塗りムラがないように気をつけながら洗浄時と同じようにチェーンをずらしていき、全体にしっかり塗布しましょう。

全体にまんべんなく塗布し終えたら、チェーンの外側にはみ出てしまったルブをウエスで適宜拭き取り、チェーンカバーを組み付けてください。

最後はチェーンのテンションを確認して調整!

ここまででチェーンとスプロケットの洗浄と注油は完了ですが、最後は愛車のチェーンのテンション(張り具合)をチェックしましょう。

オンロード用バイクの場合は遊び幅20~30mm、オフロードバイクの場合は30~40mm程度の遊びが理想です。チェーンの真ん中辺りを指で押し下げてみて遊び幅を確認してください。適切な範囲内であれば調整は不要ですが、たるみが大きい場合はアクスルナットを緩めてください。

アクスルナットはかなり固く締め付けられているため、レンチをセットして足で体重をかけながら緩めると作業しやすくなります。車種によって調整用ナットの位置は多少異なりますが、2重にナットが締められている部分の手前側を大きめに緩めて奥側を締めることで、徐々にチェーンが張っていきます。

少しずつ締めてはゲージなどで張り具合を確かめ、締めすぎないようにご注意ください。あなたのバイクの車種に応じた張り具合に調整することができれば、ダブルナットとアクスルナットを締め直して作業は完了です。

張り直しと違って手軽にできるチェーンメンテを実践してみよう!

以上、初心者でも行えるチェーン・スプロケットのメンテナンス手順について解説しました。

チェーンの張り直し作業はそれなりに細かいパーツを取り扱うため、神経質な作業になりますが、チェーンの洗浄・注油はこのように簡単に行えるメンテナンスのひとつです。チェーンが良いコンディションに保たれているバイクはリアタイヤにしっかりパワーを伝達することができて、フリクションロスが低減して燃費も向上します。

洗車と合わせて行うことにより愛車のコンディションをしっかり把握することができますので、是非ご自身でチェーン・スプロケットのメンテナンスに取り組んでみましょう。

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