エンジン周りのメンテナンス

オートバイという乗り物の性能を左右するポイントと言えば、何を置いても「エンジン」は欠かすことのできない存在です。

いくら性能に優れたバイクであったとしてもエンジン関連のメンテなしではくたびれてしまい、本来の性能を維持することは不可能です。最近調子が悪くなってきたし、そろそろ買い換えたいな…とお考えの方は、買い替えするか所有し続けるかをメンテした上で判断しても遅くはありません。

乗り続けるのであれば、エンジンが元気なバイクは非常に魅力的に映りますし、買取してもらう際もエンジンコンディションの良いバイクは高評価につながります。バイクの中でももっともメカらしさがある箇所のため、ハードルが高そうに思ってしまいますが、まずは誰でもできるメンテナンスから実践してみましょう。

今回は、愛車の車体評価を大きく左右する重要ポイント、「エンジン周りのメンテナンス」について解説します。

エンジンは定期的にメンテナンスするだけでも効果大!

「自分でできるエンジンメンテ」と聞くと、多くの方が頭に思い浮かべるのは「オイル交換」だと思われます。

もちろん「エンジンオイルの交換」は効果的なエンジンケアですが、日常的に行えるメンテではありません。「少し調子が悪いかな…?」と違和感を覚えた時に素早くメンテすることにより、あなたの愛車のエンジンコンディションは天と地ほどの大きな差が生じます。

これからも長くバイクを楽しみたい方は、この機会に自分で簡単に行えるエンジンメンテナンスをマスターしてみましょう!

古くなった冷却液を入れ替えよう!冷却機関のクリーニング編

定期的にエンジンオイルを交換しているのに、燃費がだんだん悪くなってきたり、水温計などの上昇が激しい場合は冷却系を疑ってみましょう。

バイク・自動車に搭載されるエンジンは、スロットルの開閉で混合気の量が変化し、その量に応じて回転数を上げることで動力を発揮します。回転数が上がるということは、より速く動くことで高熱を発し、高熱が続けばその熱による「熱ダレ」を起こしてしまい、本来のパフォーマンスからかけ離れた出力性能となってしまいます。

こうなるとパワーロス・燃費の悪化などはっきりと分かる症状が出てきますので、心当たりのある場合はラジエーターの掃除と冷却液の補充を行いましょう。現在流通しているバイクの多くは水冷エンジンを搭載しており、冷却液(ロングライフクーラント・LLCとも)によって熱を冷ましています。

この冷却液は循環によって徐々に劣化し、定期的な交換とメンテナンスが必要です。冷却液の量は十分あるのに温度上昇が早い、以前よりもパワーダウンしていると感じた場合は思い切って冷却液の交換を行ってみましょう。

まずはエンジンが完全に冷えた状態であることを確認し、ラジエーターキャップを外します。その上でラジエーター下部にあるドレンボルトを緩めると、古くなった冷却液が出てきますので、これをオイルパンなどの容器で受けてください。

劣化したクーラントはドロリと汚れ、見た目的にかなりグロい場合もありますが、ここは愛車のためにグッと我慢。車種によって位置は様々ですが、エンジン本体にもドレンボルトがありますので、こちらも忘れず緩めてシリンダー内の冷却液を排出してください。

しばらく時間を置いて冷却液を出し切ったら、一度ドレンボルトとラジエーターキャップを閉め、水道水を入れて15分ほど暖機運転を行います。最初に排出した冷却液の汚れがひどい場合や、夏前に交換する場合はバイク用品店などで洗浄剤を購入し、これを添加してケアするのも非常に有効です。

エンジンをオフにした後、十分な冷却時間を置いて再度ドレンボルトを緩めると、古い冷却液をすすいだ水が排出されます。しっかり冷却時間を置かなかった場合、ラジエーターキャップを開けた途端に勢いよく熱湯が噴き出すため、要注意です。

排出された水に汚れが残っていた場合は、同じ手順を繰り返して水本来の透明度になるまで繰り返しましょう。2度目以降は水道水をラジエーターに注いでキャップを締めた後、10秒ほどエンジンを始動しウォーターポンプを回すことでよりすすぎが早くなります。

ラジエーター側のドレンボルトは締め、エンジン側のドレンボルトは緩めたままで構いませんので、入念に冷却液のクリーニングを行ってください。

新しい冷却液を注入しよう!冷却液注入&エア抜き編

古い冷却液をあらかた抜くことが出来たら、続けて新しい冷却液の注入を行います。

2箇所のドレンボルトをしっかりと締め直し、ラジエーターキャップから新しい冷却液を注いでいきます。価格的には希釈タイプの冷却液の方がお手頃価格ですが、不安のある方は希釈不要タイプのものを選ぶと安心です。キャップ側から規定値まで冷却液を注いだ後はリザーバータンクにも忘れず注入しておきましょう。

リザーバータンクへの注入が終わったら、今度は冷却液に混入した空気を抜くための「エア抜き」に入ります。

これを怠ると新しい冷却液の効果がありませんので、ラジエーターキャップを外した状態でエンジンを始動し、30分ほど暖気運転しておきましょう。冷却水が規定値よりも多かった場合、沸騰した冷却液が「ゴボゴボ!」と凄い勢いで噴出し、まるで地獄の釜のような光景となってしまうことがあります。

そうした場合はバイクが汚れるだけではなく、沸騰しきった冷却液で大火傷を負ってしまう危険性もありますので、古タオルなどでバイク全体を保護して底をカットした2ℓペットボトルをキャップ口に差し込んで耐熱テープで止めておきましょう。

こうしておくと、煮沸した冷却液が飛び散るのが最小限で済み、万一の場合も安心です。エア抜き終了後は減ってしまった冷却液を再度規定値まで補充し、キャップを締めて作業完了となります。

ビグスクオーナーは要注目!ミッションオイル交換編

通勤通学用の足や、街乗り用の便利な下駄として、2種スクーター・ビッグスクーターを所有している方は「ギアオイルの交換」をした覚えはおありでしょうか?

エンジンオイルの交換はどのバイクにも必要なメンテですが、スクーターモデル特有の「ギアオイル」は、購入して手放すまで一度も交換されないケースも多い盲点のひとつです。ギアオイルはエンジンオイルよりも交換サイクルが長く、その存在を知らないという方も多数おられるようですが、これをしているか否かでエンジンの音量がだいぶ変わってきます。

新車時の静粛性がなくなってきた、と感じているビッグスクーターオーナーの方は、騙されたと思ってギアオイルの交換に挑戦してみましょう。殆どのビッグスクーターの場合、後輪左側のボックス部にギアオイルの注入口がありますので、こちらを開けておいてください。

この注入口を締め切っていた場合、空気の逃げ場がなくギアオイルの抜けが非常に悪い状態が続きます。ドレンボルトがありますので、こちらを緩めてオイルパンなどで古いギアオイルを出し切ってください。注入口を開放した後は、その下部にドレンボルトがありますので、これを緩めて古いギアオイルの排出となります。

ギアオイルは非常に粘度が高いため、交換前に軽く走っておくと温まってスムーズに排出できます。ギアオイルの交換サイクルの目安はおおよそ1万km毎で、交換が初めてとなる方は「ヤマルーブ ギアオイル」をお近くのバイク用品店などでお求めください。ホンダ・スズキ車でも安心して使える高品質で、スクーターというジャンルに絶対の自信を持つヤマハならではの高品質がウリとなっています。

基本的にボルトを開けて放置しておくだけのお手軽メンテですが、定期的にギアオイルを交換しているビッグスクーターはエンジン音が静かな状態を維持できますので、買取査定時に高評価を得やすくなります。作業時間はトータルでも5分足らずで済むお手軽さですので、ビッグスクーターオーナーの方は定期的の交換されることをおすすめします。

キャブ車はコレでコンディション維持!キャブクリーナー編

現在、新車で販売されているバイクの殆どはコンピューター制御の「フューエルインジェクション(FI)」で燃料噴射を行っています。

しかし、2007年以前のバイクは殆どが「キャブレター」によって混合気を噴射するキャブ車ですので、これに応じたメンテを行う必要があります。キャブの分解・洗浄はそれなりの時間と工具・知識を有する本格的な作業になりますが、日常的なメンテ方法としては「キャブクリーナーの噴霧」があります。

キャブ車の始動性が落ちてきた場合や、アイドリングが不安定になってきた場合、バイク用品店などで「キャブクリーナー」を購入し、エアクリーナーを外してキャブに直接噴霧してみましょう。キャブ内に溜まったガソリンの固着を融解する役割を持つキャブクリーナーは、よほど頑固な汚れでなければひと吹きするだけで完了するお手軽メンテナンスです。

特別なアフターケアを必要としないお手軽さでありながら、始動性・アイドリングの安定化に即効性がありますので、本格的な分解整備が必要となる前に定期的にキャブクリーナーを使用して清掃を行っておきましょう。

出来ることを定期的に行うことが、エンジンメンテの基本!

バイクの心臓とも言うべきエンジン関連のメンテナンスは初心者の方にとって非常に難易度が高い整備箇所です。

確かに4ストローク4気筒エンジンなど、構造が複雑なエンジンは多数ありますが、その全てが難しいというわけではありません。むしろ今回ご紹介した3つのメンテナンスのように、頻繁に行える簡単なメンテを続けていくことにより、購入時の好調をキープすることも可能です。

本格的なメンテナンステクニックも重要ですが、まずはあなたご自身のできることを定期的に行っていくことこそがエンジンメンテナンスの基本中の基本です。

あなたの大切な愛車が大事になる前に今すぐ実践可能なエンジンメンテを行い、よい状態をキープすることに努めましょう。

関連記事:エンジンの状態(異音・アイドリング状況・バッテリー状況・オイル漏れ)

関連記事:ガソリン・エンジンオイルの状態を確認する

関連記事:№236キャブレターの解体方法

バイクを高く売りたい時は
無料一括査定がオススメ

私がSR400をバイク比較.comを利用して一括査定を申し込んだ時は、最初に一番高い金額を提示してくれた業者の価格よりも、40,000円も高い金額で成約となりました。バイク比較.comは利用者数50万人以上・59社と提携する日本で一番利用されている一括査定サイトで、29秒で高額査定会社を見つけてくれます。

>> バイク比較.comの一括査定

実績No.1に依頼したい時は
「バイク王」がオススメ

バイク王は日本で最も多いバイク買取実績を持つリーディングカンパニーです。どんなバイクでも24時間365日買取可能、50~125ccの値段が低くなりやすいバイクも積極的に買い取ってくれます。 出張査定も無料で対応してくれます。 > > バイク王の買取査定